医療の技術(看護師向け)

血液透析の治療や原疾患・導入基準・副作用など基本的なことを解説

 

血液浄化療法の中で最も主流担っているのが血液透析です。

血液透析は慢性腎不全で透析の治療を行わないといけない透析患者さんを対象とした治療です。

元・医療者
血液浄化療法に携わる場合は必ず透析の知識を身につけておきましょう。内容を知ると転職で透析クリニックに行く選択肢が出てくると思い仕事の幅が広がります。

 

看護師は透析室の勤務や透析クリニックで勤務する場合はこの透析の業務に関わります。

この記事では血液透析の治療原疾患導入基準副作用など基本的なことを解説します。

 

元・医療者
新人看護師さんや看護学生、これから透析を受けるかもしれない患者さんにわかりやすく解説していきたいと思います。

 

血液透析 HD(Hemodialysis)

血液透析療法は、ダイアライザーに血液を通して拡散と限外濾過の原理で血液中の老廃物や水分を取り除きます。

患者は基本的には利き腕の反対側の腕にシャント手術をし、静脈に多くの血流が流れるようになっています。

 

透析患者さんの通院は週3回程度で、一回の透析時間は4時間程度です。

血管に刺した針から血液を外側に出して体外循環しダイアライザーに通して静脈に血液を戻します。

 

血液透析の仕組みは拡散

ダイアライザーは人工透析器のことで、中は中空糸膜が詰まっています。

中空糸膜の中に血液が流れ、外側に透析液が流れます。

 

中空糸膜は外側に赤血球が通らないほどのものすごく小さな穴があります。

透析液は血流と反対方向に流れます。

 

この時に拡散と限外濾過の仕組みで電解質の調整、老廃物の除去、除水を行なっています。

元・医療者
拡散は紅茶のティーパックみたいなもので、濃度が均一になる仕組みだよ。

 

拡散の現象で血液と透析液の濃度を均一にしようとして、老廃物や電解質のカリウムやリンなどが除去され、反対にカルシウムや重炭酸イオンが補充されます。

 

限界濾過仕組みでは透析器が圧力をかけることで血液中の水分を取り除いています。

 

血液透析の導入理由

血液透析を導入される患者さんには慢性腎不全ですが、原疾患は一つではなく複数あります。

現在最も多いのは糖尿病から来るものですが、糖尿病になったからすぐに透析になると言うものではありません

 

血液透析の治療を受ける原疾患と導入の適応基準を解説します。

 

透析の原疾患

血液透析の原疾患はこちらです。

  • 糖尿病性腎症
  • 慢性糸球体腎炎
  • 腎硬化症
  • 慢性腎盂腎炎
  • 急性進行性糸球体腎炎
  • SLE腎炎
  • 不明

 

現在の導入で最も多い原疾患が糖尿病性腎症です。

糖尿病性腎症とは糖尿病の三大合併症の一つで、糖尿病になって特に治療をせず放置していると悪化して腎不全になるものです

 

2型糖尿病の患者が増えていることもありこれが原因で透析を導入される患者さんが増えています。

糖尿病性腎症の患者さんに対しては、透析の治療中にフットケアを行う透析施設もあります

 

2番目に多いのは慢性糸球体腎炎です。

慢性糸球体腎炎は一つの疾患ではなく、IgA腎症などさまざまな病態が含まれています。

 

慢性糸球体腎炎を具体的にあげると以下の通りになります。

  • IgA腎症
  • 膜性腎症
  • 膜性増殖性糸球体腎炎
  • 巣状糸球体硬化症 など。

 

 

糖尿病の原疾患の腎硬化症は3番目に多いです。

高血圧が原因で腎臓の血管が動脈硬化を起こして血管の内膜が狭くなり、血流量が減少することで徐々に糸球体が効果して腎臓機能が低下する疾患です

腎硬化症には急激に症状が悪化する悪性腎硬化症と、病気の進行が遅い良性腎硬化症があります。

 

以上のような疾患が悪化して慢性腎不全(CKD)になり、腎臓の機能が失われると透析導入になります。

 

透析導入適応の基準

患者さんはできれば透析の治療は受けたくないものですね。

透析治療の導入の基準として「症状・所見」「腎機能」「日常生活の障害程度」の以下の項目の点数が60点以上の方が対象になります。

 

症状・所見

  • 水の貯留(むくみ・胸に水が溜まる)
  • 酸塩基電解質異常(高カリウム血症、酸の貯留)
  • 消化管の症状(吐き気・嘔吐・食欲不振)
  • 心臓の症状(呼吸困難・息切れ・心不全・著明な高血圧)
  • 神経の症状(意識混濁・けいれん・しびれ)
  • 血液の異常(貧血・出血が止まりにくい)
  • 目の症状(目がかすむ)

以上の項目が当てはまるか見ます。

  • 3つ以上の症状で30点
  • 2つの症状で20点
  • 1つの症状で10点

 

腎機能

  • 持続的に血清Cr8mg/dl以上(あるいはクレアチニンクリアランス10ml/min以下):30点
  • 血清Cr 5~8mg/dl(Ccr 10~20ml/min未満):20点
  • 血清Cr 3~5mg/dl 未満(Ccr 20~30ml/min未満):10点

 

日常生活の障害程度

  • 起床できない高度:30点
  • 著しい制限中等度:20点
  • 運動・労働が出来ない軽度:10点

 

10歳以下または65歳以上高齢者、糖尿病、膠原病、動脈硬化疾患など全身性血管合併症が存在する場合は10点加算します。

 

血液透析の副作用(合併症)

透析患者さんは透析をしないと生きていけないのですが、透析をすることで副作用や合併症があります。

 

不均衝症候群

不均衝症候群は透析の導入期に起こりやすいものです。

透析中や透析終了後に頭痛や吐き気が起こることがあります。

 

血液からは老廃物が抜けますが、脳の中ではしばらく老廃物が残っているので脳圧が上がってしまうことにより、このような症状が出てしまうことがります。

自然に回復するので心配はありませんが、患者さんは気にしてしまうことがあるので安心させてあげましょう。

 

このような不均衝症状が出ないようにあらかじめ対策を行います。

ダイアライザーを小さなものにすることや、血液流量を少なくする、透析時間を短くするなどです。

それでも症状が強い場合は脳圧を下げる薬を使用することもあります。

 

元・医療者
不均衝症候群を避けるために透析患者さんの透析時間が最初は3時間で導入したとしても、やがて3時間の透析だと不十分になるから4時間に延長するってパターンが多くて、患者さんはそれを嫌がることが多いです。

だから最初から4時間透析行なって、これが当たり前だって刷り込む病院もあります。

 

血圧変動

透析の治療において除水を行うと血圧が下がっていきます。

血圧は適宜測定します。

測定の感覚は15分〜30分です。

 

体の水分は細胞内から細胞外(間質)、そして血管内へ移動していきます。

これはプラズマ・リフィリングと呼んでいます

除水を行うと血液中の水分がなくなり、細胞から血管に水が移動し、除水で失うスピードが細胞から血管に水が移動するスピードよりも早すぎることで血管内ボリュームが下がって血圧が低下します。

 

これにより下肢が痙攣したり嘔気・嘔吐など症状が出ることがありますが、意識を失うこともあります。

そのため透析中は血圧測定を頻繁に行う必要があります

脈拍も測定して患者さんの顔色や会話の受け答えができるかなど症状を確認します。

 

透析中に血圧が下がることが多い患者さんには除水プログラムの考慮したり、バイタルチェックを頻繁に行うなど安心して透析を終えるように動きます。

 

まとめ

血液透析の基本的なことを解説しました。

病院の透析室や透析クリニックで勤務する場合は、透析患者さんとの付き合いが長くなります。

 

1週間に2〜3回顔を合わせることもありますので看護師さんはコミュニケーション能力も必要になります。

そのために透析のことをより詳しく知っておく必要がありますね。

 

病院によっては穿刺から返血まで透析業務の一連の流れを臨床工学技士が行い、看護師さんは患者さんの情報収拾のみ行う事もあります。

そのため、看護師さんは血液透析業務に関しては患者さんの食生活など背景を気にする事の方が重要だと考えられます。

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