血液浄化療法の代表的なものをいますと血液透析です。

血液透析は腎不全の患者さんを対象に血液中の老廃物の除去や電解質の調整、除水を行います。

血液透析の治療は透析室で行われていますが、透析室では血液浄化療法部と呼ばれる部署でもあり、そこでは透析以外の血液浄化療法が行われています。

この記事では血液浄化療法の基本的な知識を解説します。

 

血液浄化療法とは

血液浄化療法とは血液から不要なものを取り除く治療です。

血液中から有毒な物質を除去し、場合によっては不足しているものを補う治療でもあります。

 

血液を体外循環させて治療する行為のことを言います。

種類としては拡散・限外濾過・吸着・分離などです。

 

血液浄化療法には「慢性血液浄化療法」と「急性血液浄化療法」に分かれます。

 

慢性血液浄化療法とは

慢性血液浄化療法は、その治療をずっと続けていく血液浄化療法です。

これは血液透析のことを言います。

血液透析の治療を受ける患者さんは週3回、基本的に4時間の治療を毎週行います。

血液透析以外にも血液濾過、血液透析濾過もこれに含まれます。

 

急性血液浄化療法

急性血液浄化療法は慢性血液療法とは違い、ずっと治療をしない血液浄化療法のことを言います。

急性腎不全に対しての透析も含みます。

急性血液浄化療法は、血漿交換や血液吸着療法のことを言います。

 

血液浄化療法の種類

血液浄化療法の種類を紹介します。

簡単な解説もしますので知っておいてください。

血液透析(HD:hemodialysis)

血液濾過(HF:hemofiltration)

血液透析ろ過(HDF:hemodiafiltration)

血漿交換(plasma exchange)

二重ろ過血漿交換(DFPP:double filtration plasmapheresis)

血液吸着(hemoadsorption)
・エンドトキシン吸着療法
・活性炭吸着療法

血漿吸着(plasma adsorption)
・LDL吸着療法
・免疫吸着療法

血球吸着(cytapheresis)
・白血球吸着療法(LCAP: leukocytapheresis)
・顆粒吸着療法(GCAP:granulocytapheresis)

 

血液透析

血液透析は腎不全の末期の患者さんを対象とした血液浄化療法です。

慢性腎不全において低下した腎臓の代わりに役割を果たす治療です。

体外循環で血液透析器(ダイアライザー)を通じて血液中の老廃物や余分な水分を取り除きます。

 

 

血液濾過療法

HFとも呼ばれる治療法です。

貯留した物質を限外濾過により水分と共に体外絵除去して、それと同時に体液と近い組成の電解質液(補充液)で置換する血液浄化療法です。

血液透析より血圧の変動が生じにくいため、透析困難症の患者や、脳梗塞や脳出血後で脳圧の高い慢性腎不全の患者に有効です。

 

血液濾過透析療法

HDFと呼ばれている治療法です。

血液透析と血液ろ過を組み合わせた治療法で、腎臓の代わりをする透析膜は高性能の膜を使用することが可能で、より多くの老廃物を除去することができます。

これは血圧の変動を生じにくいため透析困難症の患者に有効と言われています。

オンラインHDFとオフラインHDFの2種類があり、多人数用透析液を補充液として利用するのがオンラインHDFで、補充液を別で用意して行うのがオフラインHDFです。

 

血漿交換療法とは

血液を血漿分離器で血球成分と血漿成分に分離して病気の原因物質が含まれている血漿を破棄します。

そして破棄した血漿と同じ量の健常な方の血漿を入れて置き換える治療法です。

血漿はは新鮮凍結血漿を使うことが多いです。

 

二重濾過血漿交換

血漿分離膜で血球と血漿に分離した後に血漿を更に二次分離膜に通します。

そうすることで特別なサイズの物質だけを取り除けます。

この治療法は破棄する血漿を血漿交換療法より少なくできるため置換する液はアルブミン製剤で補います。

 

血液吸着療法

血液吸着療法は取り出した血液をそのまま直接吸着カラムに通して血液を身体に返す治療法です。

エンドトキシン吸着療法と活性炭吸着療法があります。

 

エンドトキシン吸着療法

エンドトキシンキュちゃく療法は、血液をエンドトキシン吸着カラムに通してエンドトキシンを取り除く治療法です。

エンドトキシンは細菌がつくる毒素でこれがが体内に入るとマクロファージや多核白血球を介し様々な種類の炎症性メディエーターが産生されて発熱や血圧低下などの敗血性ショックをきたしてしまいます。

敗血生ショック状態が長引いてしまうと、様々な臓器がダメージを受けてしまいますので生命維持が困難になります。

 

活性炭吸着療法

活性炭吸着療法はある種の薬物中毒を対象に血液を体外循環で活性炭吸着カラムに血液を通して薬物を吸着して除去できる治療法です。

止血に必要な血小板も同時に吸着されてしまうため、治療後に血小板が減少してしまう場合があります。

 

血漿吸着療法とは血液から血漿分離膜で血球と血漿に分離して分離した血漿を二次カラムに通し、特別な物質だけを吸着して除去をする治療法です。

 

LDLアフェレーシス(LDL吸着療法)

LDLコレステロールの中に含まれるアポ蛋白Bは陽性荷電を呈しています。

LDLアフェレーシスは陰性荷電をもつデキストラン硫酸と静電気的に結合させてLDLを吸着して除去する治療法です。

 

近年で増加している下肢の閉塞性動脈硬化症の患者にも積極的に行われるようになってます。

閉塞性動脈硬化症による下肢のしびれや冷感を訴えていた患者もこの治療法を数回受けるとしびれや冷感が改善することがよく見られます。

 

免疫吸着療法

疎水性アミノ酸であるフェニルアラニンを固定化したゲルからなる「イムソーバPH-350」というカラムを使用します。

免疫吸着療法は分離した血漿をこのカラムに通して免疫複合体や抗DNA抗体、リウマチ因子などを吸着して除去する治療法です。

全身性エリトマトーデスなどの膠原病やギラン・バレー症候群・多発性硬化症などの神経疾患に保険適応があります。

 

血球吸着療法

血球吸着療法は潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患に適応されます。

炎症が起こっている腸管粘膜の中に血液中から運ばれてくる活性化した顆粒球やリンパ球などが多数存在することによって、炎症の持続や重症化が進むと考えられています。

 

白血球吸着療法は、活性化した顆粒球やリンパ球を体外循環による吸着療法により除去して腸管での炎症部位に入る白血球を減少させて、炎症を鎮静化する治療法のことを言います。

白血球吸着療法いは大きく2種類あります。

2種類とも他の血液浄化療法とは違い、血流を多く摂る必要がないので両肘の静脈を利用することで治療を行えます。

 

白血球吸着除去療法(LCAP: leukocytapheresis)

通称LCAP(エルキャップ)と呼ばれる治療法です。

体外循環によって白血球除去フィルター(セルソーバー)に直接血液を通して白血球の顆粒球・リンパ球・単球を吸着させます。

 

顆粒球吸着除去療法(GCAP:granulocytapheresis)

通称GCAP(ジーキャップ)と呼ばれる治療法です。

酢酸セルロースのビーズがつまっているアダカラムと呼ばれるカラムに血液を直接通して活性化した顆粒球を除去する血液浄化療法です。

 

まとめ

血液浄化療法の基本的なものを紹介しました。

どの治療法も基本的に体外循環で行うものです。

疾患によって治療法が異なり膜も異なります。